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西洋魔術の呼吸法(四拍呼吸)

 黄金の夜明け団は、ウィリアム・ロバート・ウッドマン、ウィリアム・ウィン・ウェストコット、マグレガー・メイザースという3人のフリーメイソンが創設者です。

 これに所属していた団員で特に有名なのがアレイスター・クロウリーでした。

 

 この魔術結社のシンボルである薔薇十字は、ケルト十字とも関係がありそうです。

 結社の目標としては、魔術を通して自己の精神性を高めるという比較的真っ当な目標(?)なども掲げていました。

 もっとも、そこにいた者たちの行動は、余り精神的が高いとはいえず、後に組織は分裂してしまいました。

 

 冷めた目で見れば、『上級国民のオカルトクラブ』という感じですが、秘密結社イルミナティの離脱者を自称するジョン・トッド〈注2〉という人物が言うには、『黄金の夜明け団はロスチャイルド家の私的な魔術師の集会だった』とのことです。

 つまり、裏ではただのクラブ活動の標準を超えた血生臭い黒魔術を実践した可能性も考えられます。

 

 とはいえ、そこで行われていた訓練法の中には、一般人にとって有益な内容もありそうです。

 

●画像引用 Wikipedia

 本ブログのテーマの1つ――魔術に関する最初の記事となります。

 

 ブログ主は魔術の本もそれなりに読んできたため、『魔術』または『魔道』と呼ばれる技法の本質が、僅かですが理解できたような気がします。

 あくまでその欠片の部分がなんとなく……という程度のものですがね。

 

 その1例として、魔術とは人間の意志が心の深層領域にある根源的イメージ――ユング心理学的に言えば、

『元型(archetype)』に接することにより、その秘めた力を活用することなのだと思っています。

 ですが、そんな能書きは後回しにて、まずは魔術の修行者がどんなことをやるのか、ご紹介したいと思います。

 

 これから述べるのは、19世紀末に創設された魔術結社『黄金の夜明け団(The Hermetic Order of the Golden Dawn)』で実践されたという基礎訓練です。

 

 黄金の夜明け団では、新参者のことを『ニオファイト〈注1〉』と呼んでいたそうですが、このニオファイトが最初に実践するのが、『四拍呼吸(よんぱくこきゅう/しはくこきゅう)』と呼ばれる呼吸法です。

 誰にでも簡単にできる訓練であり、健康にも良さそうな感じなので、そのやり方を説明します。

 まず、快適な姿勢を取ったら以下のようなリズムで呼吸をします。

 

①肺の空気が無くなるまで息を吐き、その状態で4つ数える。

 

②4つ数えながら息を吸い、喉まで息を満たす。

 

③肺に空気が満ちた状態にて、4つ数えながら息を止める。

 

④4つ数えながら息を全て吐き出す。

 

⇒④が終われば①に戻り、①~④のサイクルで呼吸法を繰り返す。

 

 どうですか? 結構簡単でしょう。

 この記事について、『西洋魔術の呼吸法』とタイトルを付けましたが、おそらく四拍呼吸はインドのヨーガなどから影響を受けて開発された訓練法だと思われます。

 そこに敢えて『4』というリズムを加えたことが実に西洋らしいですね。

 この呼吸法にはバリエーションがあり、上記のような『4(止息)・4(吸気)・4(止息)・4(呼気)』のリズムの他に、止息を2拍とした『2(止息)・4(吸気)・2(止息)・4(呼気)』という方法もあります。

 

 現在では、Wikipediaにすら載っているような魔術の訓練法ですが、ご興味がある方は取り組んでみてください。


【注釈 1~2】

 

■注1 ニオファイト

 ニオファイトとは、英語でNeophyteと綴られ、その語源はギリシャ語で『新しく植えられたもの(Newly Planted)』を意味するものだとされている。

 日本語では『初参入者』や『新参者』と訳されることが多い。

 

■注2 ジョン・トッド

 ジョン・トッドに関連する情報は以下を参照。

 ●エプスタイン事件の考察  中編(4章 ケルトの末裔)

参考・引用

■参考文献

●黄金の夜明け魔術全書1 イスラエル・リガルディー 編、江口之隆 訳、秋端勉 責任編集 国書刊行会

●現代魔術の源流 『黄金の夜明け団』入門 チック・シセロ + サンドラ・タバス・シセト 著、江口之隆 訳 ヒカルランド

 

■参考サイト

●Wikipedia

●John Todd, Satanism And The Illuminati
●ANIMA MYSTICA

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