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シュメール王名表と人類史

ジェベル・イルードで発見された化石

 画像は、モロッコの『ジェベル・イルード遺跡』で発見された人類(成体)の下顎骨の化石であり、現生人類とよく似た歯が見られます。

 

●画像引用 NATIONAL GEOGRAPHIC

シュメール王名表が刻まれた粘土板

●画像引用 Wikipedia

エリドゥの遺跡

 シュメール王名表によると、『エリドゥ』は人類最初の王権が成立した都市とされています。

 

●画像引用 Wikipedia

発掘当時のキシュの遺跡

 シュメール王名表によると、人類を滅ぼすほどの大洪水が起こった後、最初の王権が成立した都市は『キシュ』とされています。

 

●画像引用 Wikipedia

ラグナロクの火

 画像はドイツの画家『エミール・ドプラー(Emil Doepler)』が描いた『ラグナロク(神々の黄昏)』終盤の光景です。

 

 ラグナロクとは、北欧神話における終末のことです。

 巨人『スルト』が(一説では魔剣『レーヴァテイン』により)放った火炎は世界を覆い、主神『オーディン』の宮殿も炎上させました。

 

 神話世界の滅亡というと、『大洪水』が連想し易いですが、実際は、北欧神話のラグナロクのように『破滅的な火』が原因かもしれません。

 

●画像引用 Wikipedia

 

漫画『スプリガン』

●画像引用 少年サンデーコミックススペシャル

 現生人類ホモ・サピエンス』の最も古い化石は、エチオピアの『オモ遺跡』から発見されたおよそ19万5000年前のものとされています。

 

 故に、現生人類は約20万年前に誕生したと考えられていましたが、2004年にモロッコの『ジェベル・イルード遺跡(Jebel Irhoud)』の地層にて発見された遺跡が、その認識を変えようとしています。

 その場所で発見された頭蓋骨及びその同年代のもの思われる複数の石器が、およそ30万年前のものであると結論づけられたからです。

 つまり、現生人類の起源がさらに古くなりそうな可能性があるということですね。

 上記は生物学的な人類史の研究ですが、次は最古の文明の記録を見てみましょう。

 

 古代メソポタミア文明では、『シュメール王名表』と呼ばれる『公的な王権の推移と各王の在位記録』が残されています。

 といっても、古い時代になるほど王の在位が異常に長くなるので、あくまで(古代の王権を権威づけるための)『神話的な歴史記録』という位置付けにするのが、学問的には妥当なところです。

 しかし、この記録をよく調べていくと、現代科学と奇妙な一致を示すことになりました。

 例えば、以下に大洪水以前の王の在位を並べてみます。

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エリドゥ王:アルリム

(在位28800年間)

 

②エリドゥ王:アラルンガル

(在位36000年間)

 

バド・ティビラ王:エン・メン・ル・アナ

(在位:43200年間)

 

④バド・ティビラ王:エン・メン・ガル・アナ

(在位28800年間)

 

⑤バド・ティビラ王:ドゥムジ

(在位36000年間)

 

ララク王:エン・シパド・ジッド・アナ

(在位28800年間)

 

シッパル王:エン・メン・ドゥル・アナ

(在位21000年間)

 

シュルッパク王:ウバラ・ツツ(在位18600年間)

 

※『ウバラ・ツツ』は、旧約聖書で言えば『ノア』に相当する『ウトゥナピシュティム(別名:アトラ・ハシース)』の父親とのことです。

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 上記の年数を合計すると、『241200年』となります。

 この年数だけでも、「おや?」と思いませんか?

 

 さらに、その後の王名表の記録も確認してみましょう。

 シュメール神話の実質的主神『エンリル』が大洪水を引き起こした後、王権は都市『キシュ』に下ったとされています。

 これもまた伝説的な王権ではありますが、その頃から(実在の人物と考えられている)『ルガルザゲシ(在位:紀元前2375頃~2350頃)』までの年数を合計すると、『24787年』となります。

 現代からルガルザゲシが王位を失うまでの年数について、ざっくり『約4300年前』とするなら――

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241200年 + 24787年 + 4300年

=270287年

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――つまり、人類最初の王権は『270287年前』に成立したことになり、現生人類が誕生したとされる年代の近似値になってしまうのです。

 

 無論「大洪水以前の人々は異常に長寿だった」という伝承〈注1〉を差し引いても、上記8人の王たちの寿命は長過ぎます。

 大洪水以後の王権や各王の在位についても、一般的な意味での歴史としては考えられていません。

 アッカド王朝を建国した王『サルゴン』の統一以前のメソポタミアでは、各都市が各々独立していたと考えられているからです。

※各都市をまとめる『王権』はないということ。

 

 ただ、敢えてオカルト的発想で考えるなら、大洪水以前の各王の在位については、『1つの文明期の寿命』として解釈することもできるでしょう。

 つまり、大洪水が発生する前には、8期の超古代文明があったのかも――と想像を広げられます(各文明の滅亡のパターンは異なるでしょうが)。

 

 インド哲学における時間観念・歴史観では、宇宙は何度も破壊を再生を繰り返しているとされ、文明の崩壊と復興についてはそれ以上に数え切れないほど繰り返されていると考えられています。

※インド哲学の時間観念については『大洪水以前の世界 その5 インド神話(5-2・5-3)』または『アングロサクソン・ミッションとUFO その12(カルパと存在の円環)』を参照。

 

 また、その神話では、現代技術以上の航空機核兵器のような武器(魔法?)の描写も見られます。

 

 このような思想・世界観を信じるなら、(現生人類史『約20万年~30万年』の期間だけでも)破壊と再生が繰り返された(とされる)話に対しても違和感はありません。

 ということは、我々の世界もいつか『滅びの道』を辿ることになるのかもしれませんが、こうした歴史観をプラスに捉えることもできます。

 

 過去において繁栄していた文明には、我々の文明より優れた叡智や技術が数多くあった――と考えてみるなら、先にそれを発見し、復活させた国家が、今後の勢力争いを勝ち抜く上で有利に進められる可能性もあります。

※超古代文明のテクノロジーを奪い合うというストーリーの漫画『スプリンガン』みたいな展開ですが。

 

 いにしえの超テクノロジーを獲得できれば、劣勢極まりない日本の状況を打開し、アメリカや中国に対しても対等の交渉ができるようになるかもしれません(危険思想?)。

 

 もっとも、仮にそんな凄い技術があったとしても、たいていは強い国家に持っていかれてしまう可能性の方がずっと高いでしょうが……。

※衰退国家は、人材も技術も使いこなせないというのが『歴史的なパターン』です。

 

(TдT) ウゥ…


【注釈 1』

 

■注1 「大洪水以前の人々は異常に長寿だった」という伝承

 例えば、旧約聖書における最初の人間『アダム』は930歳、その息子(三男)である『セト(セツ)』は912歳まで生きたとされている。

参考・引用

■参考文献

●古代オリエント集(筑摩世界文學体系1) 筑摩書房

●古代メソポタミアの神々 集英社

●古代メソポタミアの神話と儀礼 月本昭男 著 岩波書店

●バビロニア文明 ジャン・ボッテロ 著、松本健 監修、南条郁子 翻訳 創元社

●SUMERIAN LEXICON JOHN ALAN HALLORAN Logogram Publishing

●スプリンガン(漫画) たかしげ宙 著、皆川亮二 イラスト 少年サンデーコミックススペシャル

 

■参考サイト

●Wikipedia

●WIKIBOOKS

●Wikiwand

●Weblio辞書

●ニコニコ大百科

●ピクシブ百科事典

●コトバンク

●goo辞書

●ナショナル・ジオグラフィック

●無限∞空間

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